観光地としての“顔"をもつ一方で、港の労働史や戦争の傷跡、米軍による接収の歴史を生々しく刻み込んだ横浜。
まちを徘徊し、そこでくらすひとびとのことばに耳を傾け、文学や映画に描き出された情景から過ぎ去った時代の面影をたぐり寄せる——すると、いま目に映っている風景の向こうに、幾重にも折り重なった時間と、堆積した記憶の層が浮かび上がってくる。
東京で生まれ、横浜で育った著者が「桜木町・野毛」「関外」「関内」「中華街・元町・山手」「本牧・根岸・磯子」「神奈川」「鶴見」「港北」「保土ケ谷・戸塚」など市内各所をみずからの足であるき、現在から過去、過去から現在へとまちの深層(ディープ)を辿ったエッセイ12章。
巻末には、港北区生まれのギタリスト小野瀬雅生(クレイジーケンバンド)の特別インタビューも収録。
辰巳出版刊