シャワーね……」とジェーンがつぶやくように言った。
僕も、窓の外を見た。確かに、通り雨が降りはじめていた。
植え込みにあるブーゲンヴィリアの花が、シャワーの雨粒をうけて濡れていた。
多くの観光客たちが、店先などで雨やどりをしている。僕は、胸の中でうなずいていた。
日本人は、本当に雨に濡れるのをいやがる。いくらカジュアルな服装をしていても、たとえ、いまのような天気雨であっても、濡れることをいやがる。雨やどりをする。
それに比べ、ローカルの人は、シャワーに濡れても平気だ。雨粒など気にする様子もなく、笑顔で歩いていく……。
(「シャワーの中を、歩き続けた」より)
通り雨のように出会い、波の上で抱きしめ、夕陽のなかで手を振った――喜多嶋隆のハワイアン・ラブ・ストーリー掌編集!